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河瀬直美 沙羅双樹

2003年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。そのほか、いろんな賞を取っている作品だったと思う。

以前、舞台挨拶時、映画館で見た沙羅双樹をDVDでもう一度、見た。今日が図書館施設を利用できる最後だったので、沙羅双樹で見納め。

劇場版を見ても思ったことだが、ドキュメンタリー風味のカメラワーク。画面が小刻みに揺れているのだが、それが独特の効果を生んでいる。

それとほとんどの場面でのゴーという風の音がいい。これもドキュメンタリー風味なのかも。監督は風を撮りたいって言ってたからこれも狙いかな。

河瀬直美監督作品の特徴はこんな感じ

  • 出演者に素人を使いたがる
  • 最初から最後までの撮影順番を映画の進行順に撮る
  • 台詞や演技、アドリブ多し(プロットが詳細に決まってない)
  • 奈良

奈良の小さな昔ながらの家に家庭菜園。蜘蛛の巣、奈良の地域行事。こじんまりとした奈良の風景が全編一貫して流れています。

音楽はUAがやっているのだが、バサラ祭りの場面のUAの音楽の効果はすごい。打ち込み × 民族楽器のような音 × UAの声質がクライマックスまで盛り上げる。繰り返される打ち込みでテンションあがる。繰り返されるメロディから徐々に頂点を目指すような山本精一のROVOの音楽のよう。

映画ばかり評価されるが、この音楽も評価されるべき質。CDないんかな。さらにUAは、クレジットロールでヘリから撮った奈良の上空が流れるところでUAはアカペラで歌っている。なんか、これだけでジーンとくるものがある。沙羅双樹でのUAの役割は大きい。

福永幸平の演技もいい。ぼーとした感じがいいのと、むっつりっぽい少年ぽさがこの作品によく合ってる。ぼそぼそと台詞を言うのもまた、なんとも言い難くとてもいい。メイキングでキスの撮影シーン後、「僕、初めてのキスでした」と白状する福永幸平。微笑ましい。またメイキングで、キス直後、みんなにキスを回されて複雑な顔。笑いました。

福永幸平は真剣10代しゃべり場でレギュラーだった人で、河瀬直美のゲスト出演が縁で、大抜擢された人。俺と一年違いの同じ誕生日だからなんとなく親近感。

調べたら、兵頭祐香は現在、樋口可南子や椎名桔平らと同じ事務所に所属してるみたいね。この面子見るとすげーな。しゃべる場面は少ないのに、なぜか存在感が大きくてよかった。文学作品のヒロインのような感じ。

生瀬勝久の演技もよし。(つうか全部いいんじゃん)

お父ちゃんはちゃんとするよ

忘れたらいかんことと、忘れないかんことがあると思うねん

は、名言。でも習字の「隠光」はどういう意味だったのか、分かりかねた。理解力足りなくてごめんなさい。

奈良に住んでる人なら一度は見るといい。あ、ここ、あそこだ、って場面があるから。東向商店街抜けたところの三条通とか。そうでない人も一回見ると色々思うところがあると思います。傑作作品です。

でも樋口可南子と河瀬直美が並ぶ場面を見ると、河瀬直美が釣り合わないように思えた。メイキングで樋口可南子は普通っぽいのに、フィルムになると堂々としてて、やっぱ女優だな、と思わせるところがすごい。でも、河瀬直美の最後の出産のシーンは、見てるこっちまで力んでしまうところがあった。でも、17,8の子供に出産シーン見せるかなあ(双子の兄が死亡確定した直後という前提で、フィルムの最後に命が生まれる場所を見せるってのは物語上必須だけどね)。俺だったら絶対ヒくけど。

パッケージにエンタテイメントて書いてたけど、エンタテイメントではないかなー。文学作品を魅力そのままに映画にしたような作品。深夜にTVで流れてたら、絶対みんな見るくらいの魅力を持ってる作品。沙羅双樹は深夜に見るとさらにいい塩梅かもしれない。今までで本当に一番好きな映画。メイキングもひとつのドキュメントとして高い完成度。何よりも微笑ましく、出演者の素顔が見られる。福永幸平の歌も見所。あれでドキュメンタリーが完成した感があるので本編だけでなく、メイキングも必見です。

つうか、この無味乾燥な感想書くのに、時間かかりすぎ。どうでもいいことならサラサラ書けるのに、本当に好きなことになると、書けない。口で説明するときも、好きなこととか好きなものの魅力って本当に説明しにくよなあ。


by 66bbb | 2005-02-09 03:12 | Book